わたしは、元小学校教師をしていました。そして、今は家庭教師をしています。それらの経験から学んだ「教え方のコツ」があなたの参考になれば幸いです。
子どもの気持ちと発達段階を把握する
一口に小学生と言っても学年によって、またその子の性格によって様々です。教える者にとって、それを掴むことが重要になります。
特に低学年の場合は、普通の大人の言葉が通じません。そして、多くの小学生は自分の気持ちをうまく表現する(伝える)ことができません。
なので、「こんなことも分からないのか」とか「ちゃんと話を聞いているのか」などの言葉は禁句です。
子どもが「分からない」「できない」のは、大人が「分からせることができない」「聞かせることができていない」と、大人が反省すべきことなのです。
小学生の子どもと良い関係を作るコツ
子どもに限ったことではありませんが、子どもが「言うことを聞く」のはその構えが出来ているからです。
それを「怖がらせて」聴かせるというのも、時には(命にかかわったり、理屈で分からせることが難しい場合など)有効でしょうが、多く場合効果は期待できません。
そのうち慣れてしまい、馬耳東風となってしまうからです。また、大人にとっても怒ることはエネルギーを消費するわりには逆効果の場合が多いのです。
「良い関係」とは、早い話が「好きになってもらうこと」です。
「好きになれる」秘訣は、優しい、かっこいい(清潔、運動能力がある、リードしてくれる)、楽しい(笑わせてくれる・遊んでくれる)、などです。
また「良い関係」とは、嫌われないことです。
「嫌われない」の秘訣は、怒らない(親切、明るい)・馬鹿にしない(長所を見出す)・約束を破らない・難しいことを言わない(簡潔に話す)などです。
しかし、そうすると今度は、子どもは勘違いして甘えたりふざけたりして、どこまであなたが許してくれるか試してきますので、そこは要注意です。
「良い関係を保つ」ためには、「ここは嫌われてでも・・」というけじめが必要です。
具体例をいくつか挙げてみましょう。
時間を守る
「約束を破らない」と書きましたが、約束にもいろいろありますが、子どもの勉強に関して言えば、学習時間ですね。
「教える」となると、大抵は大人の都合で時間を設定しますから、守るか守らないかは互いの信用の基本と言えます。
そんなことは当然と思われるかもしれませんが、意外に疎かにしている大人が多いものです。
ただし、学習時間は守ればいいというものではありません。
あくまで「基本」であって、子どもが時計を見るようになったら飽きが来ている証拠ですから、小休止を入れるか、「もう少し頑張ろう。」と声掛けをするなどの工夫は必要です。
また、気乗りがしなかったり問題ができないなどの「れっきとした」理由で、学習時間延長(サービス?)もおすすめできません。
いずれにしても、予定時間ちょうどに開始して予定時間ちょうどに終了するようにしましょう。
一つの課題にかける時間を長くしない
子どもは一つのことに長く集中していることができないのが普通と思うことが大事です。
なので、ひとつの課題に取り組む時間はなるべく短くするようにします。5~15分くらいが目安です。
スモールステップで学習させる
大人の目から見ると当然と思われることでも子どもは分かっていないことが普通にあります。
例えば、分数の計算を教えるのに、約分や通分など機械的に教えているだけでは一向に進まないので、分数の意味から一歩一歩教えなおさなければならない高学年の小学生が意外と多かったりします。
ゲーム(遊び)的要素を忘れない
元来子どもは「遊ぶ」ものです。就学前や低学年では、学びは遊びをとおしてなされる(成立する)ことが多いのです。
それゆえ、生活科などの教科もあります。しかし、現状は多くの学校できちんと姿勢を正して離席せずに授業が実施されています。
子どもたちは、遊びたくてうずうずしています。なので、上手な先生はうまく授業の中に遊びを取り入れています。
具体的には、文字通り小休止のときに手遊びをさせたり、課題を与えて子ども同士競争させたり、〇×クイズや3択クイズを出したりするなどの工夫をしています。
こうしたテクニックは、学校だけでなく家庭でも有効でしょう。
私は算数の計算問題でたまに教科書の問題に出てくる例えばアメを実物を使ってやらせたことがありました。解けた時にはみんなで舐めて盛り上がったことがあります。
これは学校では通常あまりやりませんが、家庭では問題ないですよね。
適切な評価(できたことをほめる)を欠かさない
上記のアメは、実は「評価」の一種なのです。しかし、適切な評価をするならば現物やお金を与える必要はないのです。
適切な評価とは、その子の状況(能力、発達段階、性格環境など)に合った評価ということですが、大人と違って少々ポイントがずれていてもほめることは極めて重要です。
小学生には徹底してほめまくることが学力向上の基本
能力の高い子の場合は大人同様ポイントのずれない評価でなければいけませんが、承認欲求の塊とも言える子ども(特に小学生以下)には、少々ポイントがずれていてもホメまくることが重要なのです。
これは、科学的な研究でも証明されていることで、障がいのある子などは、「気絶するくらいほめること」の効果が報告されています。
どんな子供でも日々成長しています。とくに小さいときは1か月もしないうちでも会うたびに変化していることが分かるほどです。
これは、毎日接している大人は気づかないかもしれませんが、小学生でも同じことなのです。なので、きのうよりも一歩成長している(=できるようになっている)ことに気づいてやることが大事です。
些細なことをほめる
挨拶がいい。席についている。姿勢がいい。返事ができた。
字がきれい。一つ〇が増えた。10分頑張れた。宿題を忘れなかった。話の聞き方がうまい。
(問題が1問できたら)いいね!すごい!やった!(1行でも書けたら)いいぞ、その調子!(分からないところを質問できたら)ありがとう、いい質問だね。うれしいね。
(国語や英語の文章を読ませて)いい声で読めたね。しっかりと読めたね。すらすらと読めたね。意味が伝わるように読めたね。人物の気持ちが出てたね。漢字を全部正しく読めたね。読めた漢字が多かったね。等々。
まとめ
- 子どもと良い関係を作る
- 子どもの発達段階を掴む
- 子どもをほめることに徹する