小学校の国語のゴールは、以下の学習指導要領5,6年生の目標に表れています。
(1) 目的や意図に応じ,考えたことや伝えたいことなどについて,的確に話す能力,相手の意図をつかみながら聞く能力,計画的に話し合う能力を身に 付けさせるとともに,適切に話したり聞いたりしようとする態度を育てる。
(2) 目的や意図に応じ,考えたことなどを文章全体の構成の効果を考えて文章に書く能力を身に付けさせるとともに,適切に書こうとする態度を育てる。
(3) 目的に応じ,内容や要旨をとらえながら読む能力を身に付けさせるとともに,読書を通して考えを広げたり深めたりしようとする態度を育てる。
説明文読解の力を身に着けるにはどうしたらよいか
そして、説明文の読解についてさらに以下のように示しています。
目的に応じて,文章の内容を的確に押さえて要旨をとらえたり,事実と感想,意見などとの関係を押さえ,自分の考えを明確にしながら読んだりすること。
以上をまとめますと、説明文読解とは文章の要旨をとらえることにあります。そして、そのためには目的意識と自分の考えが不可欠であるということになります。
説明文読解の力は他の能力と切り離せない
冒頭の目標で気づかれたと思いますが、国語の能力は⑴話す・聞く⑵書く⑶読むと4つに分類されていますが、互いに切り離すことができません。
したがって、読む力は書く力や話す・聞く力と密接に関連しているのです。
3,4年生での説明文読解力の身に着け方
3,4年生の段階での説明文読解の学習は、大変重要です。なぜなら、「要旨」をとらえる具体的な方法を学ぶ段階だからです。
それは、学習指導要領の3,4年生の目標に表れています。
(1) 相手や目的に応じ,調べたことなどについて,筋道を立てて話す能力,話の中心に気を付けて聞く能力,進行に沿って話し合う能力を身に付けさせるとともに,工夫をしながら話したり聞いたりしようとする態度を育てる。
(2) 相手や目的に応じ,調べたことなどが伝わるように,段落相互の関係などに注意して文章を書く能力を身に付けさせるとともに,工夫をしながら書こうとする態度を育てる。
(3) 目的に応じ,内容の中心をとらえたり段落相互の関係を考えたりしながら読む能力を身に付けさせるとともに,幅広く読書しようとする態度を育てる。
また、具体的な内容として、「読むこと」について、
ア 内容の中心や場面の様子がよく分かるように音読すること。
イ 目的に応じて,中心となる語や文をとらえて段落相互の関係や事実と意見との関係を 考え,文章を読むこと。
エ 目的や必要に応じて,文章の要点や細かい点に注意しながら読み,文章などを引用し たり要約したりすること。
と示しています。
以上をまとめますと、中学年における説明文読解学習とは、文章の要旨をとらえるために「中心となる語」や「要点」を意識させて内容の中心や段落相互の関係を考えることにあると言えます。
説明文読解における「中心」とか「要点」をどう教えるか
ところで、「中心」とか「要点」を子どもにどう教えたら良いでしょう。
「要点」などといきなり抽象的な漢語を突き付けられても子どもは何のことか分かりませんから、通常「だいじなこと」と言い換えます。しかし、言い換えてもまだ分かりません。いったい何が大事なことなのかがはっきりしないといけません。
そこで、登場するのが「目的・必要に応じて」という何度も出てくるフレーズです。そうです。目的意識や必要感が読者の読みを追求する原動力になるのです。
これは、子どもたちを一般的な読書に誘う原動力とも言えますが、文章を書いた著者にとっても読者を文章に引き込み想いを伝えるために必要なテクニックでもあります。
説明文読解における題名(タイトル)の重要性
問題提示を含む段落の文章を読む前に、読者は文章のタイトルを目にしています。実は、ここに「問い」か「結論」(あるいは両方)が出ている場合が多いのです。
なので、「要点(大事なこと)」って何かと言えば、タイトルにかかわる言葉ということができます。たとえば、タイトルが「スイカはくだもの?」だとすれば、「え?ちがうのかな?」とか「くだものでなければ何だろう?」という目的(問題)意識で読んでいくことになりますから、その問題意識に関連する語句を含む文が要点(文)と言えます。
2,3文から構成される段落の中で、どれが要点文か見極めるには、タイトルとの関連や前段落との関連(つながり)から判断します。
また、「大事な言葉」とは頻出する言葉(繰り返される言葉)でもあります。「中心となる語」とは、文章や段落の真ん中に出てくる言葉ではなく、話題の中心となる繰り返される言葉と教えましょう。
説明文読解における段落相互の関係をどう教えるか
3年生の国語教科書の最初の説明文の構造は通常次のようになっています。
問い(問題提示)⇒説明⇒答え(結論)
問題提示の段落では、「・・・でしょうか。」という形で疑問文が現れます。そして説明を経て、結論の段落で「・・は・・・の(から・わけ)です。」という表現とともにまとめています。
たとえば、問題提示として「では、スイカはくだものでしょうか、それともやさいでしょうか。」そして説明を経て結論段落で「スイカはやさいだったのです。」とまとめます。
このような単純な構造から始めて、説明の段落を例1、例2・・、と少しずつ増やしていったり、問題提示の前に前置きのような段落を置いたり、「問い」が明確な疑問文の形になってない場合も出てきますが、基本形は変わりません。
要は、「この文章は何を問題にしてるんだ?」「これが答えか?これが言いたいのか?」という意識を持ちながら読み進めていけばいいわけです。
段落相互の関係を表す接続詞に注目させよう
説明の段落では、先頭に「たとえば」「また」「一方」「しかし」「そのうえ」などの接続詞が来ることが多いです。それによって、「例を挙げての説明だな」「例の2番目だな」「付け足しの例だな」「前とは違う例だな」などと判断できます。
そして、結論の段落では、「このように」「こうして」などの接続語が先頭に来ます。結論の段落は1段落とは限りませんから、接続詞に注目して説明の続きなのか結論に入ったのかを判断します。
中学年での説明文読解の基本パターン
3年生になると、まず段落を意識させるために形式段落に番号を振らせます。段落の初めの1字下げのところに順番に数字を記入させます。
次に、各段落ごとの要点を書かせます。1段落1文の場合は、不要な修飾語を省いて要約します。2文以上ある場合は、どの文が大事な文か判断させて要約します。1文に絞れない場合もありますが大抵は絞れます。
要点がそろったら、意味段落に分けます。問い(もんだい)の段落、説明の段落、結論(こたえ)の段落など。
特に、説明の段落の意味付けが大事です。「例1」「考え1」「賛成の考え」「反対の考え」などなるべく具体的な意味が書けるといいですね。
最後に、各意味段落をまとめ(要旨)ます。ここまでできればすでに高学年の域に入っているわけですが、中学年の段階では、形式段落と意味段落を捉えるところまでは習慣化したいところです。
そして、毎日の音読においても作文においても、できるだけ段落を意識しながら音読したり書いたりさせるようにしましょう。