小学校入学前に最低限身に付けさせたい
整頓と排便の習慣
小学校への入学準備というと,準備物に
ばかり目が行きますが,もっと大切なこ
とがあります。
それは,身につけさせておきたい習慣で
す。
挙げればきりがないとも言えるのですが,
私はズバリ,整理整頓と排便の2つを挙
げたいと思います。
なぜ整理整頓の習慣が重要か
ひとことで言えば,効率的な学習法を身
につけるためです。
整理整頓の習慣は,一生涯役に立つ習慣
です。たとえ,親が苦手でも努力して自
分自身でできるまで教えていくべきです。
これを,小学校入学前に身につけるなん
て無理と思われるかもしれませんね。
ならば,正確に言いますと,整理整頓の
習慣を身につけさせ始めると言っていい
でしょう。
できれば,「時間割に合わせて翌日必要
なものをランドセルに入れ,学校から持
ち帰ったランドセルの中身を出して,親
に渡すものと本箱や机にしまうもの,そ
して宿題とを分ける。家庭学習が終わっ
たら,また翌日の準備をする。」という,
一連の流れが1年生の早い段階でできる
ようになるといいですね。
そのための練習段階が就学前と言ってい
いと思います。
くれぐれも,学年が進んでもいつまでも
母親が準備するなどと言うことがないよ
うにしたいものです。
可哀想な子になると,中学に入学する時
にいきなり「もう中学生なんだから自分
でしなさい。」と突き放されてしまう子
がいます。
身につけるには時間がかかる習慣なので,
就学前から着実に少しずつ身につけさせ
たいものです。
子どもは教えられないことはできない
子どもが「できない」のは,子どもが悪
いのではありません。教えらえていない
だけの話です。あるいは,教え方が悪い
ので身につかないのです。
たとえば,しばしば目にする大人の子ど
もへの言葉かけに,「早く片づけなさい
!」というのがあります。
そう言われて子どもはどのように反応す
るでしょうか。
1.大人の期待通りに片づける
2.自分の考えたように片づける
3.スルーする
大抵は,2か3でしょう。
なぜなら,1の子は「早く片づけなさ
い!」などと言われることはないはずで
す。すでに習慣が身についているからで
す。
2の子は,おおよそ「片づけ」の意味が
分かっているので,自分流に片づけます。
例えば,散らかったおもちゃを端に寄せ
ることかもしれません。あるいは,おや
つを食べるスペースを作ることかもしれ
ません。もしかすると,遊びをやめるこ
とかもしれませんね。
3の子は,「片づける」の意味が分から
ない(=教わったことがない)ので,そ
のまま遊び続けます。あるいは,怒られ
て初めて他の子のやっていることを真似
し始めます。
2や3の子に怒ることなく片づける習慣を
身につけさせるのは簡単です。
「早く片づけなさい!」という声掛けで
はなく,「いっしょにやろう。」と片付
け方を教えてやればいいのです。
そして,次回「片づけよう」と言って,
教えた通りに片づけ始めたら「片づけ名
人!」とか言ってほめればいいのです。
整頓の習慣が身につくことのメリット
整頓ができるようになると,前向きにな
ります。自立(自律)的になります。
たとえば,宿題をやろうという時に,何
をやるか書いてある連絡帳やプリント,
ノートががすぐに取り出せるか,カバン
の中を探し回ったり母親に探してもらっ
たりしてるうちに「やる気」が消えてい
きます。
おもちゃが整理されていない状態ですと,
行き当たりばったりの遊びになります。
絵本が背表紙の題名が見えるように本箱
に入っているとすぐに探せて読む時間も
増えます。
これらは,いざ勉強をしようという時に
やる気と学習時間の確保につながります。
また,自分の持ち物が整理されていると
いうことは自分の脳の中も整理されてい
ることにつながるでしょう。
これは,子どもが学習に使うノートの使
い方にも影響してきます。単なるメモや
落書きでないノートは学習能力の向上に
つながるはずです。
なぜ排便の習慣が重要か
1.学習に集中するために必要
小学生には,「おなかがいたい」と訴え
てくる児童が多くいます。
おなかが痛くては,授業に集中できませ
ん。しかし,必要があれば授業中でも解
決しなければなりません。
通常,頼れるかどうかで担任か保健室の
養護教諭かに訴えます。
そうした場合,かつて小学校教諭だった
私は「おへその上?それとも下?」と聞
きました。「上」の場合は,大抵は緊張
によるものか風邪か食べ過ぎが多いので
,検温して判断します。
「下」の場合はほとんどが「便意」とと
らえて,「トイレに行ってきなさい。」
と言います。
教師のお墨付きがあれば,子どもは安心
して授業中しかも他に誰もいないトイレ
で用を足せますから,すっきりして帰っ
てきます。
腹痛をガマンする子もいるでしょう。ガ
マン強いからガマンする子もいれば,恥
かしくて言えないからガマンする子もい
ます。
腹痛は,ガマンした結果しばらく経つと
治る場合が多いです。その場合は,緊張
による腹痛でしょう。
しかし,ガマンした結果,おもらしする
子もいますし,漏らしたのも気づかない
のか廊下や階段にウンチが落ちている場
合もあります。
なので,訴え出れる子はまだよい方だと
も言えます。
ここで,親が考えておくべきことは,次
の3点になるでしょう。
1.できれば,朝か夕に家で排便できる 習慣をつけておく。 2.朝家でできない場合を考えて,昼間 学校などの公共の場所でもできるよう準 備しておく。 3.便秘にならないように水分の補給と 腸に良い栄養に心がけておく。 |
2.家でするか学校でするか
朝家でできない場合を考えて,昼間
学校などの公共の場所でもできるよう準
備しておくようにしましょう。
入学前には,親や頼れる大人がいないと
ころでも排便できるようにしておきまし
ょう。できれば,授業時間外(登校前や
休み時間)に済ますことができるように
コントロールできるといいですね。
多くの子供は,休み時間にトイレで排便
することを躊躇します。他に友達とかが
いると落ち着いてできないのです。中に
は「くせえ!」とか「だれがうんこして
る?」とかはやし立てる者もいます。
それで,授業中に行きたがるのです。ま
あ,これも生きるすべですので,いざと
いうときのために教えておくのもいいか
もしれません。
それにしても,余裕をもって起床(理想
は出かける1~2時間前)し,余裕をもっ
て食後を過ごせば朝家での排便が可能と
思います。
家庭によって,またはその子によって体
のリズムは違いますので,必ずしも朝で
なければならないということはないと思
います。
3.健康な排便の基本は正しい食事
健康的な排便のリズムは簡単に作れるも
のではないでしょう。
普段からの規則正しい生活習慣が重要で
す。これは,親が作るしかありません。
十分な睡眠時間の確保と,時間にゆとり
のある食事時間の確保が大切です。
また,栄養に偏りがない食事メニューを
準備することも親の仕事です。とくに,
食物繊維や乳製品など腸に良いメニュー
は欠かせません。