漢字は国語のごく一部:小学生の正しい国語勉強法
国語の勉強と言えば、イコール漢字の勉強と思っていませんか?まあ、これは大げさですが、それでもお子さんの国語学習の時間に半分以上割いているのは普通ではないでしょうか。
小学校時代が基本的な言葉を覚える期間と考えれば、それもある意味仕方ない面もあります。しかし、文章の理解と表現に国語学習の目的があるのですから、いつまでもカナや漢字の勉強に捕らわれていてはいけません。ましてや、商業主義に乗っかって漢検などにのめりこむのは賢いやり方ではないと思います。
小学生が重視すべき国語学習は毎日の音読
小学生の国語学習は、漢字よりもむしろ音読に重点を置くべきです。
このことは、多くの教師も賛成だと思います。しかし、限られた家庭学習の時間の中では、どうしても漢字の書き取りの宿題のほうに時間がかかってしまい、音読はさらっと流して終わりになっているのが多くの子どもの実態ではないでしょうか。
音読学習のメリット
学校の授業でも家庭の学習でも音読にかける時間が少なめなのは、漢字の学習時間だけの問題ではありません。音読学習のメリットに気づいていないということもありそうです。
音読には次のようなメリット・効果があります。
- 文字(カナ、漢字)が読めるようになる。
- 言葉の意味を知る。
- 表現の良さを知る。
- 文章の構造を知る。
- 作品の面白さを知る。
すなわち、国語学習の面白さにつながる効果があるということです。
それなのに、音読しても聴いてもらえない。上手に読んでもほめてもらえない。ましてや、読めない字がある、意味不明な言葉がある、というままになっていれば面白さにつながるはずがありません。
つまり、小学生の音読学習(漢字もそうですが)には大人(教師か保護者)がそばについてやる必要があるのです。
音読の段階
とはいえ、1年生レベルと6年生レベルの子が同じような音読で良いわけではありません。
次に、音読をする(聞いてあげる)うえでチェックポイントを段階的に挙げてみましょう。
- 正しい発音で文字を正しい読み方で読める。
- 相手に聞こえる声の大きさで読める。
- すらすら読んで覚えてしまうくらい読める。
- 読んだ内容について順序だてて言える。
- だれが何をしたかを言える。
- 文章の内容について、あらすじが言える。
- 文中の言葉から想像した情景や人物の気持ちについて言える。
- 気に入った表現や詩歌を暗唱できる。
- 文章について、大事なところを言ったり感想を言ったりできる。
- 文章について、読み取ったことを言ったり、自分の考えと他者の考えを比較した
りできる。
4~10については、3までクリアしてしまった子に対して問います。答えらえない場合は、もういちどいっしょに読みながら確認するか、翌日に音読の直前に問いを出してから読ませるようにしましょう。しかし、これらの問いで子どもが音読嫌いにならないように注意すべきです。
レベルを下げて問い、達成感を味わう必要もあります。たとえば、「だれが何をしたか」言えなくても、「だれが出てきた?」「その子は何をしたの?」と一問一答形式の簡単に当たりそうなクイズにして、当たったらおおいにほめ、外したところでやめればいいでしょう。
いずれにせよ、音読をすればほめられる・達成感があるという体験が重要です。
小学生の漢字勉強法
漢字の学習は、たいていの教師が毎日のように宿題にしているのでやらざるを得ない勉強です。なので、どうせやるなら楽しくためになる勉強にしましょう。
漢字の宿題内容が決められている場合は、その通りいやでもやらざるを得ませんが、納得いかない場合は担任教師に問い合わせてみるべきです。とくに、次のような練習の仕方を強いているようでしたら問題だと思います。
場 | 山 |
合 | 山 |
場 | 山 |
合 | 山 |
場 | 山 |
合 | 山 |
場 | 山 |
合 | 山 |
場 | 山 |
問題点は、
1.簡単な漢字は、10回も書かなくても覚えられる。
2.「場合」なのか「合場」なのか分からなくなる。
3.読み方が分かっているのだろうか?
わたしは、次のような練習をおすすめしています。
場 | ば | 山 | や
ま |
合 | あ
い |
。 | |
。 | 山 | や
ま |
|
場 | 。 | ||
合 | 富 | ふ | |
。 | 士 | じ | |
出 | しゅつ | 山 | さん |
場 | じょう | 。 | |
。 | 登 | と | |
山 | ざん |
この方法は、
- 1回目は正しい漢字を見て書く。
- 2回目に見ないで書けたら、3回目は書かない。
- 読み仮名を1回は必ず振る。
- 関連の漢字を1回は書く。
新出漢字を2回しか書かないとすぐ忘れてしまうかもしれません。しかし、あと8回も書く時間を別の関連熟語の学習にあてた方が楽しいし効率的と思います。念のため、翌日、一週間後、テスト前などに再度2,3回書いてみれば定着するはずです。学習障害などの理由で、漢字を何回かいても覚えられない子の場合は、むしろ書くことはあきらめて読む能力を広げた方が賢明ではないでしょうか。(極論すれば、これからの時代、漢字は書けるよりも「正しく変換」できる能力が求められるはずですから。)
日記で「書く」くせをつけさせましょう
目を通すのが大変なので、最近日記の宿題を出す先生が減ったように思います。しかし、たった数行でも毎日書く癖をつけることによる効果は大きいのではないでしょうか。
現代の子どもは、黙っていれば文字を書かないで済む時代に生きています。そのため、大人が意図的に書かせる場を作らないと、書く能力が衰えていきそうです。
それには、日記が最適でしょう。
日記は、文字の練習(かな、漢字)と作文の練習になります。進んで学習した漢字や表現を活用して文を書いたら大いにほめまくりましょう。また、読んだ(前向きな)感想を一言でも付け加えれば、黙っていても日記は持続していくでしょう。
ただし、いつまでも、一、二文の日記が続くようならば、増えるようなヒントを与えるなどの工夫が必要です。すなわち、音読や漢字の学習同様大人が見てあげてこそ小学生の学習能力は伸びていくのです。
まとめ
- 小学校の国語学習の要は「音読」
- 漢字学習は楽しく効率よく
- 日記を習慣づけよう
- おとな(教師や母親)がそばについてこそ小学生は伸びる