掛け算九九は小学校2年生の算数の課題です。昔は3年生で教えていました。発達段階によっては(2年生全員がマスターするには)少々無理があるので、教科書の方でも最終的にマスターする時期は3年生の前半になっていると思います。
なので、無理して丸暗記させようとして算数嫌いにさせてもいけませんね。まあ、九九の歌などの工夫をして楽しく覚えさせるのも手ですが、学年が上がった時のことを考えると効果的とは思えません。
掛け算九九を覚える前に大切なこと
掛け算九九を覚える前に数唱は大丈夫?
掛け算は言うまでもなく足し算がもとになっています。足し算とは数を増やしていくことですから 、数を数え上げる数唱ができていることが前提になります。即ち、1,2,3,4,5,...と100までは数え上げられるようにしておきましょう。
そんな簡単なこともできてないとすれば九九を暗記することは無意味です。また、できる子には2とび、10とび、5とび、3とびくらいの数唱はやらせてみましょう。2とびは日常でよく使いますし、5とびは時計の読み方学習に直接つながっています。
九九の学習の最初も5の段からになっているのは、1年生での時計学習で学んでいるからなのです。
掛け算九九を覚える前に足し算は大丈夫?
九九は、足し算の結果を手っ取り早く表示するためのテクニックです。即ち、2+2+2=6を「2+2=4,4+2=6」とするより「2が3つだから2・3が6」と覚えた方が早く結果を出せて便利なので覚えさせるわけです。
こうした便利さと意味を納得しながら習得させるようにしましょう。例えば、「イチゴが3枚のおさらに2こずつのっています。ぜんぶでなんこ?」という問題に対して、数えるよりも、足し算するよりも、掛け算九九を使うと便利だと納得しながら学ぶべきです。
これは、7+7+7を求めるのに足し上げるよりも7×3を使った方が便利だとすぐに気づくでしょう。
「7・3、21」という九九を忘れた場合の方法として7×2+7の答えと同じだと知っておけば、これも便利ですね。しかし、14+7という繰り上がりの足し算に手間取っていたら便利とは言えません。なので、計算カードにあるくらいの足し算はすべて九九よりも先に一瞬で言えるようにマスターしておくようにしておく必要があります。
掛け算九九の効果的な覚えさせ方
上記のことができたうえで、九九をどう効率よく覚えさせるかを提案いたします。
教科書の順に1段ごと覚えさせる
大抵の教科書は5の段から始まります。次が2の段でしょうか。1の段から始まるのではないことは、それが効率的だからなので1の段から順になどと考える必要はありません。ただし、子どもにとって5の段が苦手な子もいるでしょうから、それもこだわることはありません。
要は、覚えられるところから覚えればいいのです。九九の歌が効果的であれば活用しますが、ほとんど必要はないでしょう。
できた段からシールなどのご褒美をあげれば、喜んで競うように頑張ります。一旦クリアしたらご褒美をあげます。翌日もう一度テストして、忘れていたらシールをはがすなどという野暮なことをしてはいけません。それよりもまず、九の段まで1段1段クリアする喜びを味わわせましょう。
4の段と7の段など発音に注意して覚えさせる
小学校低学年段階では、まだ正しい発音が定着していないお子さんもいますし、とくに「し」と「しち」は速い発音だと間違いやすいので、九九を速くは発音するのがいいのではなく、正しく発音することの大切さを教えましょう。
本当は4を「よん」7を「なな」と発音させたいところです。時計では、地方によっては7時を「ななじ」と教えているところもあるくらいですから。しかい、4の段は「し」7の段は「しち」で定着しているし、7の段は「なな」では却って発音しにくいと思います。
ただし、これも子どもが「よん」や「なな」の方が覚えやすいということであれば良しとすべきかと私は思います。
1の段から9の段まですべて言えるようにする
そのうえで再テストするなら別なご褒美を用意しますが、次は1段ごとではなく1×1~9×9まで全て言えたら合格としましょう。ご褒美は豪華なメダルがいいかもしれません。
しかし、優秀な子はこれも簡単にクリアするでしょうから、最後は9×9から1×1まで逆に唱えられるように頑張らせましょう。
掛け算九九プリントは急がない
学校では、早い段階から百マス計算などのプリントによる掛け算練習に取り組むかもしれません。とくに、塾や学童などでは手っ取り早いので早くから使うでしょう。
しかし、家庭ではあせってはなりません。プリントをやらせるなら、むしろ文章題に取り組ませるべきでしょう。すなわち、掛け算はたとえ九九をマスターしても使えなければ意味がないのです。その意味で、掛け算を用いる文章題は5の段の九九を習う頃からどんどん取り組んでも良いのです。
掛け算九九の学習はカードで仕上げる
九九のマスターに計算カードを活用しましょう。学校によっては、算数セットを2年生になったら使わない先生もいるかもしれませんが、まだ必要です。少なくとも、計算カードと時計は必要と思います。
算数セットからの卒業は時計と九九が終わってからと言っても良いくらいです。さて、九九カードの使い方は、以下のようにすることをお奨めします。
カードを順に重ねて(並べて)見ながら九九を唱える
暗唱の助けになります。これは、9×9から逆に降りて唱える場合にも使えます。九の段まですべて覚えたら、今度がカードの本当の出番です。
そうです。カードを完全にばらしてランダム順にするのです。1枚当たり1,2秒で答えさせます。思い出させる時間を与えません。ヒントとして、「7×4を忘れたら4×7と同じだよ」と交換法則を教えましょう。81枚すべて瞬時に言えるようになったら、もう一度バラバラにして練習すれば完璧です。
このころから、百マスなどのプリントを好んでやるならやらせたらよいと思います。優秀な子には、それもつまらないかもしれませんね。
その場合は、インドの子どもたちのように、10の段から20の段まで憶えさえると中学数学が楽になりますので、面白がってトライするかもしれません。この辺になったら大人と競争するのもいいですね。