言った・言わないの問題は、職場の雰囲気や人間関係に影響を与える難題です。各自が自分は絶対に言った、相手は絶対に聞いていないと信じるため、お互いの不信感が生まれ、チームワークに悪影響を及ぼす可能性があります。
この問題はビジネスの円滑な進行において厄介なトラブルであり、誰もが経験があることでしょう。携帯電話や無線機、口頭でのコミュニケーションは揮発性が高く、記録ができません。特にデスクレスワーカーと呼ばれる職種（宿泊、医療介護、建設、飲食、小売など）では、コミュニケーションが極めて重要であり、言った・言わないの問題が発生しやすい傾向があります。この問題は社内外のトラブルの元凶であり、未然に防ぐための改善策が求められています。
言った・言わないの基本的原因は人間関係が出来ていないことによる
聞いていなかった・聞き取れなかった・聞き逃していた
大体、「言った」「聞いてない」という低レベルなやり取りは世間に絶えません。尊大な自己中の人間は、相手が聞いてなかった（聞かなかった）のは自分でなく相手のせいだと考えるものです。
私は教師をしていましたが、教師にはそういう人が多いですね。子どもに「言うこと聞かない」とか「聞いてないんだな」とか「教えたはずだ」とか言います。そして子供は、「聞いてない」「教わってない」と言います。
初めは私もそういう教師でしたが、あるとき研修ではたと気づかされました。子どもが理解していないのは、子どもが聞こうとしていないときに教えようとするからだと。
このことから考えられることは、もしあなたが「言った・言わない」のトラブルの中にあるとすれば、人間関係が出来てないことが原因のことが多いのです。簡単に言えば、「聞く耳をもっていない」のです。なので、人間関係の改善から始めましょう。やり方は簡単。「伝わらない（聞いてない）のは私に責任がある」と思うことです。
また、伝えたにも関わらず相手が聞いていないと言われる原因の一つに、情報が適切に伝わっていなかった可能性があります。話し方の癖、スピード、声の大きさ、周囲の音などが聞き取りやすさに影響します。
業務に集中していて聞き逃してしまうケースもあります。無線機を使用した情報共有でも、音声の乱れがトラブルを引き起こす可能性があります。
なので、このようなケースの技術的な問題解決策は、
➀何かを伝えるときは、まず相手の名を呼びこちらを向かせてから必要事項を言うこと。
②（尊大な）相手が何かを言おうとしているときは、やっていることを中断して耳を傾けること。
②「聞いてない」と言わせないため、文書で伝えること。
記録していなかった
人は短期間で一度に記録できる情報の数に限界があります。記憶力には差があるものの、限界は存在します。したがって、何かしらの形で情報を記録しておくことが確実です。ただし、手が塞がっている場合やメモを取る時間がない場面では記録が難しいこともあります。思い込みが言った・言わないの問題を引き起こす要因となります。
最低限紙のメモだけでも必要ですが、現代は便利なものが多くあります。メールは便利ですよ。電話や口頭でのやりとりの後に確認の意味で文章にしてメールで発信しておくと「言った」証拠になります。
情報共有ができていなかった
集団が一堂に会する場合は一斉に伝達することが可能ですが、離れた場所にいる場合は個別に伝達する必要があります。伝えた人と伝わっていない人の区別がつきにくく、伝えたつもりになりやすいことがあります。また、個人的な情報共有が思い込みや記憶違いに発展するリスクも存在します。
確認不足：
内容を理解せずに確認を怠ったことが、言った・言わないの問題を引き起こすことがあります。何度も同じことを質問することで後ろめたさや気まずさが生まれるだけでなく、理解があるかどうかを確認することが重要です。お互いが確認を手間に感じ、思い込みが生じることも避けるべきです。
言った・言わないが原因で起こるトラブル
上司や同僚との関係に亀裂が入る
言った・言わないの問題の多くは指示に対する認識の相違によるものです。情報の重要度が高いほど、トラブルに発展しやすく、その後の対処も難しくなります。これが原因でストレスを感じるだけでなく、相手からは怒られていると感じられ、信頼を失うこともあります。
離職の原因になる可能性も：
水掛け論に発展した場合、解決が難しくなります。仲裁が必要となり、解決しても人間関係の修復には時間がかかることから、最終的には離職に繋がる可能性があります。
クレームが発生：
言った・言わないの問題がクレームに発展することもあります。お客様への情報伝達に相違があった場合、サービス品質や顧客満足に影響を及ぼす可能性があります。特に命に関わる重要な事項の伝達ミスは大きな事故につながる可能性があるため、慎重な対応が求められます。
言った・言わないを防ぐための解決法
テキストや録音で記録に残す：
やりとりは記録に残せない・可視化できないと思われがちですが、現代の技術ではテキストや録音機能によってデータに変換することが可能です。最悪の場合、水掛け論になることがありますが、大半は確証がなく自分が正しいと自信を持って言い切れないのが事実です。テキストや録音を利用してはっきりさせることで、即座に解決でき、その後のトラブルを回避しやすくなります。
トランシーバーで録音ができる！アプリ無線のメリットをご紹介
全体でコミュニケーションを取り合う：
業務を効率的に進める上で全体でコミュニケーションを取り合うことは重要です。全員に一斉に情報共有することで、1人が聞いていなくても他のメンバーが聞いていた場合、言った・言わないの問題が解決できます。個別のコミュニケーションも大事ですが、同じ現場で働く全員で一斉にコミュニケーションをとることが望ましいと言えます。
人材育成・スタッフに対するサポートの強化：
新人スタッフの場合、言った・言わないの問題が発生しやすいです。専門用語を使用したり、自分では教えたつもりが伝わっていなかったりすることがあります。新人スタッフが理解できているか、間違ったことをしていないかを確認し、サポートすることで、ジレンマを解消することができます。現代では離れた場所でもリアルタイムに新人のサポートができる音声コミュニケーションツールが教育に役立っています。
これらの解決法を導入することで、言った・言わないの問題を最小限に抑え、円滑な業務遂行やチームワークの向上に貢献できるでしょう。コミュニケーションの質を向上させ、信頼関係を築くことが重要です。