不登校状態の回復へのプロセス
不登校は,長期休業の後に増えます。特に夏休みの後は目立って多くなる傾向があります。
温暖化の影響もあるのでしょうか、このごろ,夏の期間が長くなっているようですね。
入梅期前の初夏の期間が長かったり,逆に夏休みが終わる頃になって暑くなりだして,10月になっても真夏の陽気などということが多くなっているように思います。
不登校児指導体験記
わたしが福島県で小学校の教員をしていたときに,担当した不登校児もやはり夏でした。
福島の2学期は、ほとんどが8月下旬から始まります。
たった1週間ほどの8月くらい出席率100%を実現したいなと毎年思っていましたが,暑さで体調を崩すこが結構いまして,全員出席などということは意外に簡単ではありませんでした。
不登校が出現しやすいのもこの時期でした。わたしには今でも後悔してることがあります。
1学期からすでに休みがちな一人のひ弱な男子がいました。
その子のことも考えずに、未熟なわたしは,出席率100%を達成しようという浅はかな考えから、早く子どもたちに学校生活の感覚を戻してあげたいと思い、毎日、「頑張って来ようね。」と帰りの会で励ましていました。
結局、それが逆にプレッシャーになったのでしょう、8月100%達成ができたかどうか覚えていませんが、その
子は、9月から完全な不登校状態に入ってしまいました。
その子の他にも現役時代に何人もの不登校児を担当しました。そして、我が子も不登校を経験しました。
そうした経験から学んだことは、不登校対策などというお決まりのマニュアルは役に立たないということです。
なぜなら、子どもは一人ひとり環境も生い立ちもちがい、時代も違うのです。
わたしが経験から学んだことは、結局、「徹底して子どもに寄り添うこと」ということでした。
不登校児に限らないことですが、あたかも、自転車の練習のようにつかず離れず、寄り添い、見守ることです。
その資格があるのはもちろん親ですが、親だけではありません。子どもの周りのおとな全てがその対象です。
残念ながら、親か教師かどちらかがその役割ができない場合があるかもしれません。
しかし、それも責めることはできません。みな、それぞれの立場で精一杯やっているのですから。
不登校から脱出するまでのプロセス
子どもが不登校や引きこもり状態から脱出できるようにするために、わたしは次のようなプロセスで関わります。
1.将来に目を向ける。
多くの中学生が3年生になると再登校する傾向があります。それは、将来に目が向くからです。ずっと先、職業や一生のことまで目を向けさせます。
何も考えていないのが普通なので、いろいろな職業があることを教えます。もし、ゲームなどはまっているもの
があるのなら,その「ハマっているもの」から連想して教えます。
もちろん、職業でなくても、「金持ちになりたい」など「将来の状態・境遇」でもいいのです。
2.そのために今何をしたら良いのか
話し合う
できれば、自分で結論が導けるよう話を誘導します。それで、国語や英語など必要な知識やスキルにきづく
ようになると思います。
3.当面の進路を自分で決める
勉強の必要性を感じ、程度の差こそあれ勉強への意欲が増してきます。能力と時期的な問題から現実の道が見え当面のゴールも見えてきます。
「どこの高校に行くか。」は、自分で決めさせましょう。それが、実力に合わないところだとしても、「自分で選んだ」ということを重視して例え受験に失敗してもそうすべきと思います。
このような過程のどこかで、再登校が実現することが多いのです。
もちろん,目標は再登校ではありません。目標は、あくまでも「子どもの自立」にあります。
中学校時代に中途半端に自立しなくてもいいのです。
今や40になっても50になっても自立できない「子ども」が日本中溢れているわけですから、たいしたことではありません。