オススメの消しゴムの使い方は「なるべく使わない」
消しゴムの利点はひとつだけです。すなわち,「まちがえたものを消すことができる」だけです。
一方,マイナス点は数え切れないほどです。
1.間違えたものを消してしまい,どのように間違えたかが分からなくなってしまう。 2.すぐに消しゴムを使うために「考える」習慣が身につかない。 3.物事(答え)を頭の中でまとめてから書くという習慣が身につかない。 3.消しカスがでる。 4.消しゴム代がかかる。 5.消す時間を費やす。 6.消すのに費やした分勉強時間が減る。 7.消しカスを片付ける時間がかかる。 8.机や部屋が汚れる。 9.消しゴムを常用して机の上にいつも置いておくと,転がり落ちることがある。 10.消しゴムが机の上にいつも置いてあると,友だちに無断拝借されてトラブルのもとになる。 11.消しゴムが机の上に置いてあると,おもちゃ代わりにもてあそびたくなる。 12.かわいい消しゴムやいいにおいのある消しゴムが机の上に置いてあると,気になって勉強に集中できない。 |
まだあるように思いますが,このくらいにしておきます。
まとめますと,
消しゴムは勉強の邪魔になるということです。
消しゴムが勉強の役に立つ場合
小学校教員の経験者の私の記憶では,消しゴムが役に立つのは次の場合です。
1.低学年児童に,「文字はきれいに書くものだ」ということを徹底するため。 2.特に書写(かきかた)の時間は,お手本と違っていれば消して直させる。 3.テストなど正式な提出物の場合 |
そのほかの利点はありません。
消しゴムを多用する子の特徴
消しゴムを多用する子は,「学習する」ことよりも「きれいに書く」あるいは「正しく書く」ことに心が向いています。
その背景には,親か教師の目を感じていて,常に「間違えてはいけない」という意識が働いています。
と同時に,「とにかく早く書くことがいいことだ」という気持ちもあります。
すると,まず何でもいいから書いて即間違える→すぐに消す→また書くということを繰り返すのです。
学習するうえで,実は「まず何でもいいから書く」ということはそんなに悪いことではありません。
但し,「消さなければ」という条件が付きます。消さなければ,間違えた内容が記録に残り,それを反省し改め次のために役立つからです。
それを消してしまい,しかも正しく直してしまうと,あたかも「間違えなかった」かのように記録されてしまうので,学習が半減以下になってしまいます。
消しゴムを多用しないで効率的に学習する法
なので,私はたとえば次のように指導しています。
1.間違えたら消しゴムで消すのではなく,赤で直す。間違えたところを消し線を1本引いて,正解を上か下に書く。抜けがあれば,赤で挿入する。 2.ノートにもう一度正答を書き直す。 3.正答を見ないで書けるまで繰り返す。 |
これは,漢字や英語や計算を覚えるときに有効です。
ただし,小学生はとくに正答を見ても漢字を正しく直せない子が多いので,大人が見てやる必要があります。
中学生には時間がない
消しゴムを使うデメリットで,消す時間の浪費はばかになりません。消すくらいなら,赤字を使うなくてもそのまま黒で消し線を引いたり×をして進んでいくべきです。
理由さえわかれば,中学校の先生で「汚い」などと言う人はいないと思います。
教師にとっても,間違えたところは消さないでおいてもらったほうが指導しやすいはずです。
中学生は部活等で忙しいのでなかなか勉強時間の確保ができません。消す作業に使う時間を「学習する時間」に振り向けましょう。
消さなければ思考過程が残るというメリット
漢字や計算練習の場合だけではありません。
作文のように書く長さが長くなる場合でも,消さないで置けば,後で書き直す場合に参考になるのです。消してしまえば,どこを直したらよいかまで分からなくなりますから,残しておいたほうが効率的です。
また,消しゴムはなるべく使わないと決めておけば,まず頭の中で組み立てる・まとめるという癖がつくというメリットがあるのです。