これまでの医学と教育学を覆す革命本「発達障害を改善するメカニズムがわか った!」
少々長いタイトルになってしまったわけ
は、この本のタイトルが一見して発達障
がい児の保護者向けになってしまってい
るからなのです。
しかし、この本は障害のあるお子さんの
親だけに読ませるのはもったいないよう
な素晴らしい内容が盛られているので、
ブログタイトルを長くしてしまいました。
この本は、正に子どもの教育を真剣に考
えるすべての親が参考にすべき内容が書
かれているのです。
(お急ぎの場合はとりあえずここから読む)
大体、私がこの本を手にしたきっかけは、
新聞広告で見た「発達障害を改善する」
の文字にありました。
おそらく私を含めこれまでの発達障害に
かかわる医学、教育関係者にとっては、
「発達障害=治らない」が刷り込まれて
いるからです。
しかし、一方で長年そうした子供たちに
接してきた者からすれば、頭の片隅には
「本当に治らないのだろうか?」という
思いが常にあったのではないでしょうか。
だからこそ、私はすぐにこの本を注文し
たのです。
「発達障害を改善するメカニズムがわか った!」は、脳神経外科医との共著
この本の著者の一人は篠浦伸禎という脳
神経外科医です。
彼の特徴は「覚醒下手術」にあります。
脳神経には痛みがないという理由で麻酔
なしで手術するので、脳の各部位に触れ
るとその人の反応が明確に分かるという
のです。
その彼が発見したことは、端的に言えば、
発達障害のカギを握る脳の部位は視床下
部と偏桃体ということでした。
医学の進歩もまた日進月歩なんですね。
この本は、この最新医学的知見に支えら
れて、EEスクール協会の鈴木昭平氏が自
信をもって世に問おうとしている実践書
というわけです。
著者の先生(右:鈴木昭平先生、左:篠浦伸禎先生)
読み終わると、長年の教育経験者として
の疑問が氷解した思いでした。
「発達障害を改善するメカニズムがわか った!」のここが革命的内容!
これまでは、まず親の「この子はどうも
普通と違う」という発見があって関係機
関に相談すると、「脳に何らかの原因あ
るようです。様子をみましょう。」とな
ります。
そして、最終的には就学時に発達障害
(大抵はASDかADHDか精神発達遅滞)の
診断名をもらい、治らないので服薬で抑
えたり特別支援教育を受けることになり
ます。
また、従来の教育はストレス教育が基本
なので、発達障害を治せませんでした。
それに対して、この本を読んだ後、今後
は次のようになっていくのではないかと
感じました。
発達障がい児ではなく発達特性児なのだ から、この子はエジソンやアインシュタ インがそうであったように天才かもしれ ない。服薬ではなく、脳内に働きかけて 障がいを改善して普通学級で学習させよ う。 |
本書レビューに見られる批判
この本のレビュー記事を読みますと、興
味深いことに評価が両極端に分かれまし
た。高評価の一方で、「絶対読むな!」
という強い批判で評価1を付ける人もい
るのです。
批判1 もともと発達障害ではなかったのでは?
「治るはずがない」「治すことをあきら
めた」人にとっては、そう考えたいでし
ょう。
しかし、実際に医師は簡単に「発達障
害」という診断を下します。
話は少しそれますが、
一方で簡単に受け入れる保護者も近年増
えてきました。
もちろん、多くの保護者は苦渋の末の受
け入れとは思いますが、昔に比べ言葉を
「障がい」などとごまかすなどした成果
かもしれませんが、保護者側でも「障が
い者」の烙印に対する抵抗感が薄らいで
きています。
これは、社会保障の充実によって、受け
入れた方が経済的に楽になるということ
も影響していると思われます。
発達障害で「グレーゾーン」の意味は?
研究が進むにつれて、以前のように白か
黒かはっきりさせるのではなく、アスペ
ルガーや高機能自閉症のような中間のグ
レーゾーンの存在が分かってきました。
そして、今ではそれらをひっくるめて
「ASD=自閉症スペクトラム」と言うの
が普通になっています。
「スペクトラム」というのは、虹の色の
ように、白から黒までがグラデーション
で境目がはっきりしてないことを言います。
そういわれてみれば、実はどんな人間に
も少々グレーな部分があることに気づい
たりします。
こうした考えからすれば、「発達障害児
は発達特性児」という本書の基本的な考
え方が理解できてきます。
批判2.(母親の)育て方のせいに
する昔の考え方にもどすのか?
昔、「子育ては母親」「物事にはすべて
原因と結果がある」という考えから、障
害児の責任はほとんど母親のせいにされ
ていました。
しかし、「原因を母親の養育」に求めて
いたのでは、母親が参ってしまう上、何
の現実的な解決にならないので、原因を
外在化することによって、ずいぶんと親
子とも救われた部分があると思います。
それゆえ、本書の考え方は確かに厳しい
し挑戦的でさえあります。
しかし、母親のマイナス面に目を向ける
のではなく、愛情というプラス面に目を
向けるのなら、大いに筋のとおった考え
方といえるのではないでしょうか。
批判3.モンスターを助長させる考え方では?
EESでは、親が「子どもの障害は改善で
きるんだ。普通学級に入れるのだ。」と
いう確信を持つように教えられます。
本書の中にも、親がわが子をなんとか普
通学級に入級させるよう学校に乗り込ん
でいったという体験談が紹介されていま
した。
確かに、一面それはモンスター的な行動
とも言えますが、親にはそれくらいの覚
悟が必要だということを言っているにす
ぎません。
批判をはねのける実績と科学的裏付け
こうした批判も恐れずに活動を続ける本
書の著者には頭が下がります。
しかしながら、その根底には批判をはね
のけるだけの強力な理由があるのです。
すなわち、EESの6000家族もの「障がい
を改善させた」という実績と、篠浦先生
の脳神経医学上の裏付けという揺るぎな
い証拠です。
EES協会の発達障害改善のための3つの柱
EES(エジソン・アインシュタインス
クール)協会では、次の3つを発達障害
改善のための柱としています。
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発達障害の特徴は1歳までに出現する?
脳細胞とシナプスは1歳までに急増する
ので、「おかしい」と分かった時、従来
の医師など専門家が「様子を見ましょ
う」と放っておく判断をくだしても、そ
れに従っていたら時間がもったいないと
本書では主張しています。
就学前までの家庭教育こそが重要なので
あり、母親によって自律神経の調節をす
る視床下部に働きかけてオキシトシン
(愛情ホルモン)を分泌させることが基
本といいます。
具体的な例で、母親の笑顔と「気絶する
くらいの誉め言葉」がオキシトシンの分
泌を促して子どもは変わるというところ
が印象的です。
もちろん、父親も厳しさで偏桃体(情動
の処理)をコントロールしてガマンを覚
えさせることに役割を果たすのでしょう。
また、子どもの脳の体質改善のため、食
生活を改善し、脳内を巡る血流を改善す
るという考え方も、新しいですね。
そして、学習法では従来のゆっくり学習
ではなく「超高速」楽習法を取り入れて
いるんですね。
発達障害の子たちにとっては、かえって
高速で動くものの方が見えるのかもしれ
ません。
そういえば、私が担当した子どもにも知
能が低いのにゲームやパソコンの操作が
速かったり、高速道路から見た道路標識
を明瞭に思い出して書いたなどという子
が何人もいました。
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以上、障害児指導経験を持つ教職経験者
による感想でした。
詳細は、本書を手に取ってお読みくださ
い。
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まとめ
- 本書は、これまでの常識に挑む革命本
- 発達障害のカギを握る脳の部位は視床
下部と偏桃体 - 発達障害児は発達特性児
- 批判をはねのける実績と科学的裏付け
- 母親の働き掛けによるオキシトシン分
泌を促せ - 母親の笑顔と「気絶するくらいの誉め
言葉」がオキシトシンの元