子どもの幸せのために「生きる力」を身につける
文科省の学習指導要領では,教育の目的
の中心テーマとして「生きる力」を謳っ
ています。
子どもの幸せとは何かということを考え
る視点として大変参考になりますので,
一度目を通しておきましょう。↓
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/
ただし,学習指導要領どおりの教育が学
校現場でなされているかは別問題です。
教育を学校任せにしてはいけません。
言うまでもないことですが,教育の責任
は,基本的に親にあると覚悟すべきです。
「生きる力」とは具体的にどのような力
か?
私は,「豊かに生きる力」あるいは「
力強く生きる力」であると考えます。ま
た,「自己実現する力」でもあるでしょ
う。
そして,これらは子どもに限らず我々す
べての大人が生きている限り課題となる
ことです。
親の方針と子どもの興味関心
子どもは情報量0からスタートし,親は
かなりの情報量を持ったところからス
タートします。
当然ながら,親は自分が持ち合わせてい
る情報の中から教育方針を立て,子ども
に進む方向(進路)を指し示しリードす
る最高の立場にあります。
そして,子どもは0から親の持つ情報と
意図に染まっていきます。
子ども(能力)を活かすも殺すも,親次
第とも言えるのです。
うまくすれば,東大に進学させノーベル
賞を取らせることもできるし,下手をす
れば引きこもったり,自分か他人を殺め
たりすることもあるわけです。
理想は,親の方針と子どもの興味関心が
文字通り「啐啄同時(そったくどうじ)」
となって子どもが成長していくことでは
ないでしょうか。
親の役割
その意味で,親は子どもの興味関心と自
分の方針に沿った情報を子どもに対して
発信し続ける必要があります。
例えば,ケーキに興味を持ったら,いっ
しょに作る,作り方を調べる,トッピン
グについて調べる,イチゴについて調べ
る,イチゴ農家に連れて行く,イチゴの
絵本を読ませる,絵本が読めるように文
字を教える,英語で書かれた絵本を読ま
せる・・等々。
そして,目標は必要な情報を親からでな
く自力で書物やネットから得るようにな
ることです。即ち,自ら学び始めること
です。
もちろん,その間親からの一定のコント
ロールが必要なことは言うまでもありま
せん。
私立受験とスポーツクラブ
親の教育方針により,子どもの放課後の
過ごさせ方が違ってくるのは当然でしょ
う。
「豊かに生きる力」を学力や体力だけに
偏らず,遊びの中から身につけることが
重要だという立場からは,幼児や小学校
低学年時代に塾やスポーツばかりさせら
れている子どもがかわいそうと思うでし
ょう。
しかし,私立受験やプロスポーツを目指
す親はそんな批判を気にする必要はあり
ません。
たとえ,学力のないプロスポーツ選手で
も,体力もなく不器用な学者でも豊か
に・力強く生きていれば親の教育は間違
ってなかったことになると思います。
それが途中で挫けて,世間並みに過ごさ
せてしまって後悔するようなことがあっ
てはなりません。
また,子どもは環境に左右されやすいも
のです。能力を伸ばすためには,それな
りの環境が必要です。
例えば,子どもの学力を高めるためには
「勉強をして当たり前」の環境におくべ
きです。
その意味では,遊ぶことしか考えていな
い・商業主義に毒されたような子が多い
普通の公立学校よりも進学校に通わせた
方が有効でしょう。
もちろん,公立の学校に通わせたままで
も,友達付き合いに配慮したり,放課後
の過ごさせ方如何では学力を高めること
も難しくはありません。
例えば,現代ではテレビやゲームに支配
されないためには,放課後の過ごし方を
親が管理する必要があります。
教育が子どもをダメにする場合
ただし,受験勉強もスポーツ指導も
「啐啄同時」が基本です。
すなわち,子どもの現段階での生きる力
(=興味関心)が親の教育方針(ハード
ル)を乗り越えることができているとい
う条件が必要です。
有名塾に通う子供たちのインタビューで,
模範解答する子たちのように,親の期待
に応えて遊びたい気持ちも眠たい気持ち
も抑えて努力できることは本当に素晴ら
しいことです。
しかし,親はよくよく子どもの実態を見
抜いていく必要があります。
それは,本人の許容能力と塾やスポーツ
クラブの(場合によっては学校の)指導
能力のチェックを絶えず怠らないという
ことです。
教育と言えば,一般的には「学校」を思
い浮かべるでしょうが,親も塾やスポー
ツクラブも教育者です。
そうした教育が子どもをダメにしないよ
うにチェックを怠ってはなりません。
何かあって学校や指導者のせいにするの
は簡単ですが,そういう学校や指導者を
選んだのは親の責任と考えましょう。
ましてや,当の子どものせいにするのは
論外です。
世の大人は,表向き言うか言わないか関
係なく「子どものため思って」と言いが
ちですが,多くは自分の利益のために動
いているのです。
自分の昇進のため,チームの優勝のため,
学校(塾,スポーツクラブ)のため,国
の為等々,本当に子ども本人自身のため
に行動している指導者など多くはありま
せん。
もちろん,子どものことを考えている指
導者が即有能とは限りません。そこが,
見極めの難しいところですが,とにかく
子どもを潰さぬ方向で指導者(指導機
関)選びをすることが重要ではないでし
ょうか。